便秘体質の人間にとって、旅行では究極の選択を迫られる。
どの時点で便秘薬を飲むべきか? 旅行にさしさわりのないタイミングでプーちゃんを出しておくために、最適な判断を下さなくてはならないからだ。
新幹線で神戸へ行き、美味しい神戸牛をたらふく食べる、というその旅行では、出発の朝、つまり家を出る前にプーちゃんを排泄するはずだった。
んが、しかし。
プーちゃんは、ことごとく私の予想を裏切る。前日に飲んだ便秘薬が、新幹線に乗ったとたんおっとり刀で効いてきたのだ。遅いよっ。
新幹線のトイレにたてこもること、1時間。
お腹は痛いし! トイレ揺れるし! 和式だし! すっかり筋肉痛だし!
すべてのエネルギーを使い果たして出てきた時は、関ヶ原を過ぎていた。
車窓から景色が楽しみで、わざわざ富士山側の指定席にしたのに……。
「富士山きれいだったわよー。いったい、どこ行ってたの?」
呑気な旅の連れは、煎餅片手にそうのたまわった。
この旅行まで、私は便秘薬を愛用していた。
「いざとなったら、便秘薬があるもんね」
そうタカをくくっていた。しかし、これだけおなかが痛くなるとは……。
便秘薬には、便を軟らかくする働きをするものと、腸を刺激して排泄を促すものがある。
便を軟らかくするタイプは副作用が少ないぶん作用も弱い。
腸を刺激するタイプは強力に効くけど、習慣性や副作用も大きい。
私が使っていたのは腸に刺激を与えるタイプ。どうりで、お腹が痛くなるわけだ。
調べてみると、刺激の強い便秘薬を使いすぎると体内の塩分が不足したり、腸内の善玉菌まで押し流されたり、ますます便秘がひどくなるらしい。
便秘薬の働きは、便を一時的に押し出すだけ……。
便秘薬で、便秘の根本原因は解決しない……。
なんだろう、この脱力感は。 じゃあ、いったい、どうしたらいいの?