突然、恋に落ちることもある。そして、突然、下痢になることも。
それは、すっかり晴れたデート日和の午後のこと。
高校の時ずっと片思いだった彼と、やっとのことで初デートにこぎつけた。前日は眠れず、当日は朝5時から起きていた。小学生の遠足ですか私。
待ち合わせの30分前に駅についた私は、突然、プーちゃんに呼ばれた。朝、家のトイレでいきんでも、ウンともスンとも言わなかったくせに。
やばい。とにかく彼が来る前に、プーちゃんを出さなくちゃ。
ダッシュで駅のトイレに駆け込んだ。
出たなー、怪獣プーちゃん。
1週間ぶりのプーちゃんは、水溶性の、いわゆるひとつの下痢だった。
出すだけ出した。もう安心。と、思ったのもつかの間……。
時間ちょうどに彼がやってきた。ドキドキ。
私が、生まれてから一度もプーちゃんなんか見たことのありませんよ的、天使の作り笑顔を振りまいているときに、またしても悪魔のうなり声。
グルルー。クュルルー。あ。脂汗。我慢の玄界灘。
「ちょっと……」
笑顔のまま後ずさりして、すり足でカフェのトイレへ。
またしても下痢ピー。とめどなく、出る。とどまるところを知らずに、出る。
この日のことを、どんだけシュミレーションしたと思っているのよ。
ありえないですよ!
私のような症状を、過敏性腸症候群と呼ぶらしい。聞くところによると、10人に1人はこんな悲惨な目にあっているのだとか。
突然の不安や緊張が、腸にも伝わると、1日に何回も下痢が起こる。どうやら自律神経のバランスが関係しているらしい。
私のような下痢型だけでなく便秘型、下痢と便秘を繰り返す型もある。
というか、ふだん便秘体質の私でも、突然なるっていうところが……。
プーちゃん、恐るべし。